■ ひきだしをどれだけ持てるでしょうか
今回は「教えかたのこと」。
今年も児童館のなわとびクラブを続けています。
4月の1回目を終えてみて、ここからどう進めていくのか迷っています。
迷っているというより、計画がありません。
これまで2年半やってみました。いろんな技を教えてもそこからの発展がなくて、めざすものが見えないまま続けてきた感じがします。
全日本をめざすような子たちと違って、クラブはスクールというより、テーマ別お楽しみタイムみたいなものです。子どもの気持ちの向きかたが違います。
毎回、まずは技を教えてみて、あとは子どもの反応待ちでした。
ただ、このやりかただと問題があります。ノってくれるときはいいのですが、ウケないと悲惨です。つまらなくて、勝手に好きなことを始めてしまいます。そうやって離れた気持ちは、すぐに次の打つ手を出さないと取り戻せません。
そういう意味で、打つ手がたくさんある最初のころはいいのです。
なわとびだと、「打つ手 = 見せてない技」であることが多いので、最初はストックがあります。ところが、ストックも「あればいい」というわけではなく、
・時間の回転が速いと一気にストックがなくなっていく
・ウケないストックは使えない
この2つが起こります。
最初の「回転が速い」は、技を教えても、あきられたらすぐに次の技を教えている状況です。新しい技だけで組み立てたメニューなら、どんどん技を教えることになります。
同じ技なら5分もてばいいほうです。1時間の中で準備運動や休憩を除いて50分あったら、1回で10個の技を教えることになります。これを1年。100個以上の技を、競技をめざしているわけでない子が跳ぶのです。
トードやEBみたいに、競技では必須に近くても、普通の子にとっては「ビミョー」でウケがよくないものもあります。このへんが「ウケないストック」。ひょっとしたらウケるかもしれません。でもダメなら、競技では定番の技すら除外して、100個以上の技を準備しなければなりません。
そう考えると、ただ続けるだけでも、ストックが尽きるときが計画の終わるときです。
そんな背景で、今年の1回目をやってみて――。
教えかた、興味の引きかたしだいだなと思いました。
印象的だったのは、クロスフリーズをひっくり返してクロスフリーズにしたとき。
今までクロスフリーズの次はクロスフリーズリリースでしたが、うまくできずに興味が離れそうで「じゃあ」と教えてみた技でした。こんなにウケるとは思わず……。
もう1人が別の場所で縄のたすきがけをやっていて、あっちとこっちで子どもたちが自分の覚えた技(?)を教えあう形になって、勝手に広がるのはいい持っていきかただと思いました。ねらっていたのではないのですが……。
違う見せかた、興味の持っていきかたもまたストックです。思ったよりストックがないので、今回の話のように悩みのほうが先行しますが、子どもの姿を見ながらストックを増やしていこうと思います。