とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

742 寒中絶技

■ 寒さと技術の紙一重

今回は「寒さのこと」。

さすがに冬らしくなってきました。

寒いと、うまく跳べないことが多いです。僕にとってわかりやすいのは4重とびで、寒い時期になると、途端に跳べなくなります。4回回しきれない。初めて跳べてから毎年、「春が来ないと難しいかな」と、木が芽吹くのを待つような気持ちになってばかりでした。

ところが、今年は寒くなってもそこそこ跳べてます。1回がぎりぎりなのは変わらないものの、寒風の中で4回目の縄が足の下を通っていきます。練習の中で一度も跳べないことがありません。


体を動かせるかどうかなのだと思います。

4重とびがわかりやすいのは、「4回回しきるだけ手を動かせているか」にかかっているからでしょう。寒さにかかわらず、できなかったときは、手を動かせていませんでした。腕を振るように回して、うまくかみあったときに、なんとか縄が通るくらい。

腕で回すのは、わりと力む回しかたです。肩から先が固まりぎみと言ってもいい。そんなとき、縄がふわっと浮いてついてこないのは、自分の手が動きを伝えられていないからです。

寒いときに起こっているのがまさにその状態です。

回す技術で言うと、肩と腕が動かせている程度で、手首から先でグリップや縄のコントロールができていないのです。だから細かく速く振ることができません。上で「力む回しかた」と書いたのも、力めば細かいところまで縄を動かせないのと同じ理由だからです。

ジャンプも、上半身の伸びあがりがないと高く伸びないと思ってますが、体を固めて動きを止めてしまうと伸びあがれません。


跳べないときは体をほぐすことですね。

うちのあたりは、雪は降らないものの風が強い地域で、いつも公園で寒風に吹きさらされてます。体は冷えるし、固い芯ができたように動きません。連続3重とびでもなんでも、とにかく体を使って温まるくらいのことをしないと、何をやっても動きが鈍いままです。寒くて体が縮まったまま縄を回すのは、できないのにコンパクトな動きで跳ぼうとするのと同じでしょう。

寒さに限らず、たとえば同じ技を何度も練習しているときにも同じことが言えます。

何度やっても引っかかる、「ハマり」に陥(おちい)ることってありませんか? 昔、友だちから「そういうときは別の技をやったほうがいい」と聞いたことがあります。気分転換になりますが、身体的なことを言えば、同じ動きで体が固まっているとも言えます。

EBのように体にねじれが入りがちな技だと、よくそうなります。そんなとき、いろんなリリースで体を開いたり、キャッチで次の動きにつなげたりすると、結構体がほぐれます。手首もいろんな方向に動かせますしね。


「寒いと体が動かない」のは当たり前です。

では、どこがどう動いていないから、回せないのか? あるいは跳べないのか?

それがわかるのは、一度自分で跳べた経験があるからです。寒さで動きづらいときは、必要な技術を思いかえすいいチャンスでもあるのでしょう。

跳べたことがない人にとっても、動きが止まっていないか、もうすこし手先やグリップまで動かせないか、考えなおすチャンスになるのかもしれません。

イラスト:剣士風の道着を来た男の子が、片ひざをつきながら体に縄を回してボディラップを決めている。鋭い目。冷たい空気を切るように、体を囲う縄の軌跡。背景に、氷に小さく影をつけたような字体で、寒、中、絶、技、が一文字ずつ描かれている。

断絶か、超絶か