今回は「ダイレクト後ろはやぶさのこと」。
前回を受けて、得意技について書いてみる。
ダイレクト後ろはやぶさというのは僕の造語だ。
予備跳躍なし、という意味もあるが、特に、連続技の中でいきなり後ろはやぶさをする、という場面を想像してほしい。
狙っているのは意外性。
カブースクロスや、フェイクドンキーのあとなど、後ろ回しにつなげやすい流れで、後ろはやぶさをする。
これが競技者レベルになると、後ろのOトードや後ろASOにつなげてしまう。それに比べて、とてもささやかだけれど、前回書いたように、自分の跳んでいる場所、見せたい場所のことを考えたとき、これでも十分喜んでもらえると思うのだ。
カブースクロスのような、普通の人は見たことのない体勢で縄を回す。
前かがみで苦しそうだから、見る側にはいったん体勢を立て直すように見える。
ところが、そこからさらにもう1つ技を繰り出そうとする演技者。
「ちょっと強引じゃ……」と思わせたところでダイレクトに決まる後ろはやぶさ!
一度、これを見ていた先生が「おおーっ(笑)」と声を上げてくれた。(笑)がついているのは、歓声だけでなく、思わず笑ってくれたから。
驚きの先にある笑いって、素直に楽しんでもらえた証じゃないかな。
あのときの、ちょっとだけ本音を引き出せたような瞬間がたまらなくうれしかった。
逆に自分が同じように驚いたのが次の動画。
Daisuke Mimura rope skipping performance (Freestyle for 5th Asian championship) - YouTube
三村大輔さんが大学生の前で演技をしたときのものだそうだ。
この中で、0:54あたりにカブースクロスに続けていきなり高レベルの技を繰り出すシーンがある。後ろダブルアンダーAS to プッシュアップ? 初めて見たとき、とにかく意表を突かれて、驚きを通り越して笑い声がこぼれてしまった。
見る側も、瞬時、瞬時で何通りか次の動きを予測している。その予測を自覚できなくても、実際に動きを見てそこまでインパクトを受けなければ、心のどこかでその動きを予測していたからなのだ。
でも、三村さんのこの技の流れは完全に予想外だった。あそこからASの入った多回旋に持っていくなんて思ってもみなかった。
あの驚きを、自分でも再現してみたいという気持ちが今でも残っている。
後ろはやぶさって、小学校ではそれだけで1つの勲章なんですよ。
2重跳びの上にはやぶさがあって、しかもそれの後ろ回し。顔に当たる恐怖を乗り越えて跳びきるだけで、たぶんうちの学校では名人級になれる。
それをカブースなどから連続して跳んで見せるわけだから、驚きと、そして「また見たい!」という期待も得られると思う。
箱庭の王子かもしれないけど、それが小学校で見せられる「得意技」だ。
続けて次回は、後ろのクロスの感覚などを書きたい。