■ 足の下の空間をとらえて
今回は「回し方のこと」。
前回、SOOASは足の下の空間をとらえて縄を叩きこむといい、と書きました。
実際跳ぶときには足の下の空間なんて見ていられないので、回せる場所を感覚でとらえる=認識する、といった感じです。
前回は、たまたまSOOASの話でしたが、足の下の空間をとらえながら跳ぶのは、いろんな技でも同じでしょう。なわとび自体のコツ(の1つ)と言ってもいいと思います。
ここで謎かけを1つ。
「なわとびは、回ってきた縄を跳ぶのか、跳んだところに回すのか?」
一般的には、縄を跳びこす運動・遊びと言われています。小さな子の跳びかたを見ているとまさにこれで、なんとか回した縄に合わせて、これまたなんとか跳びこそうとしています。
でも、今回言っているのは後者。
最近だと、 419 側振と頂点のあいだ や 420 2重とびでブレーキがかかる子へ で書いた、ジャンプにブレーキをかけない跳びかたの話が近いです。ジャンプを確保することと、足の下の空間を作ることは似ています。ここでさらに、足の下の空間を「回せる場所」として意識しましょうということです。
手と足の話になると、同時に動かすのが難しい、いわゆる「協応」問題が出てきます。こうやって先に整える部分を作る・意識するのが1つの解決法ですね。
ただし、体のバランスは必要です。
足の下に空間を作り、ねらって縄を通すとき、体は空中です。支えるものはありません。回すために力を入れれば、体や縄がブレます。
つまり、跳んで足の下の空間を作った次の段階で、回す前に「バランスをとる」のが必要になってくるわけです。勢いが必要な多回旋ほど、これが顕著かもしれません。体幹の話にもなってくるかと思います。
2023.8.17 追記:足の下だけを意識すると、回す力が偏(かたよ)って体勢が崩れることもあります。なるべく上にも下にも回して、均等に勢いをつけることが、体勢のバランスにもつながるのかなと思いました。
そう考えると、足の下の空間の話は、ある程度回す技術が上達した人向けかもしれませんね。
回し手が自分ではない長縄やダブルダッチも似ています。
それらは一見、「回ってきた縄を跳ぶ」ように見えます。自分でない人が回しているから、その縄に合わせて跳んでいるのだと思えるからでしょう。
でも、実は、経験が高まってくると、ジャンパー(跳ぶ人)が縄に合わせて跳ぶのではなく、ターナー(回し手)がジャンパーに合わせて回すのが主流と聞きます。回す技術の大切さがわかる話です。
小学校の8の字でも、運動能力がいろいろな子をみんな跳べるように教えるよりも、どんな子でも合わせて回せる子を見つけるほうが「みんな跳べる」と考える先生はけっこういます。(回数至上主義になりがちなので、どんな子でも跳ぶ技術をつけられるほうがいいとは思いますが……)
この感覚に気づくと、跳ぶのも回すのもすこしラクになりました。
SCC、SOO……と4連くらい跳ぶときも、サイドスイングしながら先にちゃんと跳んでおくと、あとはCCやOOを通すのに専念するだけ。これまで、ずいぶん軽く跳んで見えた大会選手の跳び方はこれか、と思えました。
TJOでも、回し方ばかり気にしていましたが、足の下の空間という基点を作って、そこをねらって回すと、体の動きがまとまった気がします。
でも、SEB系は回すのが苦手なのでそうはいきませんね。普通の4重とびもそう。そもそものジャンプ力、回す技術に限界があれば、できる技もそこまで …… なのは変わりません。それでも、なわとびの技術自体は、向上すると思います。