とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

514 オーバーパフォーマンス

今回は「演技のこと」。

先月、フィギュアスケートマンガを読んでいたらショックを受けました。

月刊アフタヌーン」で連載している、つるまいかだ『メダリスト』。先月号で、主人公が初めて大会で演技するシーンの中に、指先を伸ばしているコマがありました。

なんとなく。なんとなくだったのです。読みながら、雑誌を持っていた片手を離して、こんな感じかなと僕も指先を伸ばしてみました。

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何か違う……。


僕の指先は、ずいぶんと「まばらに」開いていました。

そのシーンで、フィギュアとして手や指の伸ばし方の何が正解と言っていたわけではないのですが、ある程度指を「そろえて」伸ばしているそのコマと、大きくまばらに広げている自分の指先。

そうか、自分のは「おおげさ」なだけなんだ……。

指と指のあいだの肌(指間みずかき)が、つっぱって張りつめた感覚に気づいて、自分がいかに、ただ限界まで指を広げてポーズをとっていただけなのかを痛感しました。

それがダメだと決めつけるには早いのかもしれません。ダイナミックに広がりや気持ちの強さを表現している、という評価もありでしょう。でも、問題はそこではないのです。意識して表現していたならともかく、僕はただ、考えなしに指を大きく広げていただけでした。


考えがない。そこが問題です。

演技とは、ざっくり言えば、普段とは違う自分になること。

おおげさに指先を広げれば、なるほど、普段の自分とは違う指先でしょう。では、それで見せているのはどんな自分でしょうか? それってただのアピールで、何かおもしろいですか?

たぶん、おもしろいとすれば、いつもと違う自分気持ちいい、くらいの自己満足や解放感でしょう。それ以上のねらいはなく、考えをたどれば「適当」です。だから、おおげさなだけなんだな、と感じました。

似たイメージで連想したのがストレッチです。

ストレッチ系の動画にならって体を伸ばしていると、「ムリに伸ばしてませんか?」と言葉が流れてきてドキッとします。ストレッチも、普段とは違うところまで体を伸ばしますが、いきなり自分の柔軟性の限界をめざすものではありません。ゆっくり伸ばせば 50cmまで伸びるゴムも、一気に伸ばせば切れてしまうことだってあります。

これも、考えなしに、おおげさに体を伸ばせばいいわけではない話ですね。


単縄を跳ぶ姿もまた、普段とは違う姿だと思います。

一般的な短縄と専門的な単縄を比べたときに、「普通と特別」が浮かびあがるように、単縄にはやっぱり特別感があります。ましてや、単縄の技を駆使した演技・パフォーマンスとなれば……。

そうやって跳ぶ姿、たとえば僕の場合は公園で、どれくらい考えて跳べているのでしょうか。

「見たことない技、すげー!」
「珍しいの跳んでるだけでうざい」
「音が激しいからもうすこし配慮して……」