今回は「体の使いかたのこと」。
前回すこしふれた、脚の「前を使う」か「後ろを使う」かの話。
ジャンプや走り方などのトレーニング動画を見ていると、ももの後ろとか、おしりとか、脚の後ろ側の筋肉を有効に使いましょう、みたいに説明されるときがあります。極端な話だと、「そちらの筋肉のほうが大きいのだから、大きいぶんだけ効果が高い。使わなきゃ損です」なんて説明も見ました。
正しいかどうかは断言できませんが、わかりやすいし、期待もふくらむ説明だと思いました。そんな話をいくつも見ながら、自分でも「脚の後ろ側の筋肉」をしばらく気にしてみたところ――。
僕は、ずっと脚の前を使ってきたんじゃないか……?
「後ろ側の筋肉」理論に引きずられている感じもしますが、そう感じました。特にジャンプで感じていた、足から力を伝えきれていない感覚が、「前側の筋肉しか使えていないからうまくいかない」状態に似ていました。
どういう状態かというと、腰から上に動きが届いていない感覚です。
「後ろ側の筋肉を使うといいよ」という動画には、その反対の話として、「前側の筋肉は上半身の筋肉にあまり連動しない」という話も出てきます。実際、脚の前側としてとらえやすい、足の甲、すね、ひざ、ももだけで跳ぼうとすると、いわゆる「くの字」とびになります。前回の話のような、脚を伸ばしたフォームが生まれてしまうわけです。
これって、腰から上をあまり空中へ持ちあげてくれません。脚だけで勝手に上がっている状態で、体の使いかたとしてはせいぜい腰から下の 50%しか効果が出ていない …… とでも言える状態です。
僕が過去の演技の動画でよく気になっていた、「脚だけ上がってそんなに跳べてない」姿はまさにこれでした。
一方で、後ろ側の筋肉のほうがは、上半身にうまくつながりやすいみたいです。
前の筋肉では上半身につなげにくい、と言ったほうがわかりやすいかもしれません。つま先が上がる感じだと、大なり小なり「くの字」になりやすくて、腰あたりで力が止まってしまいます。
姿勢をきちんとするとき、「背すじを伸ばす」と言いますよね。背中 = 体の後ろ側が重要になっているわけです。たしかに、脚の前側だけがんばっても、「くの字」では背すじが曲がってしまって、上半身まで連動する様子はあまり見られません。
脚の後ろ側というと、もも裏から、おしり、腰、背中へとつながっていきます。背中までいくと、ある程度伸ばしていないと上へ跳べません。そうやって、上半身を持ちあげる技術につながるのかな …… と思いました。
試していくと、体の使いかたが大きくなりますね。
脚の前だけだと、腰くらいで止まってしまって、体全体の動きになりません。もも裏からおしりを動かすことで、歩くときでも体を大きく使えている感じがします。
体を使えていなかったというより、大きく体を使うことから逃げていたのかもしれません。苦手意識って、そうやって上積みされてきたのかな …… と40歳を超えて気づいた話でした。