とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

811 アームラップの視点と支点

■ 縄を見るための支え

今回は「アームラップのこと」。

前回の流れでもうちょっと書いてみます。

ヒーローフィニッシュをきれいに決めるには、アームラップがきれいに回ったほうがいい。そのアームラップを回すには、縄のコントロールという、回しかたの基本が込められているんじゃないか ―― こんな話でまとめました。

ただですね、これを子どもに伝えようとすると難しい。

回せない子はゆったりとしか回せないんですよ。理想なのは、「手首を使って…」「縄を速く回して…」というよくあるフレーズですが、実はハイレベルなこの技術をぶつけても、苦手な子には即座に届きません。

跳ばないアームラップでもこの難しさは変わりません。空中の不安定さがないぶん、できそうに見えるけどできない。たとえば、苦手な子が片手で縄を束ねて持って跳ばずに回しても、うまく回せないのに近いでしょう。


支えがないからかな、と最近思いました。

空中で縄をうまく回せないのは、「跳ぶ」「回す」の他に「支える」要素も必要だとこの数年書いてきました。体がゆらいでしまうから、縄も乱れて回しづらい。

地に足のついたアームラップでも同じです。

足で支えていても縄がふわっとしか回らない。腕をぐるぐるさせているだけなのも理由ですが、ぐるぐるさせるしかないのは、縄に支えがないからなのかな …… と。

イラスト:支点と書かれた振り子と、視点と書かれた虫眼鏡が上部に描かれた、女の子のアームラップの様子が2つ。支点のほうは後ろから。わきの下に縄がかかり、上へ回っている。縄と腕のあいだに「支える → 縄の張り」。視点のほうは斜め上から。縄が腕にかかり、張った状態で女の子が縄を見ている。こちらは「見る → 感じる」 2つの絵の枠にまたがって、「縄のコントロールにつながる」とふきだし。

支えと感触の先にあるもの

左の絵のように、アームラップには最初の「かかり」とでもいう部分があるんですよね。ラップ(巻きつけ)の始まりにあたる、腕の付け根です。ここに縄をちゃんとかけると、最初の張りが生まれます。こうすることで、縄の張り=コントロールしやすい縄につながるわけです。

この状態で回しかたを教えると、「縄を実感」してもらいながら話を進めやすいと思ってます。腕だけでなく、手とグリップを意識した回しかたにも近づくでしょう。

縄が巻きつきはじめると、もう一方の手を引いても縄がほどけないので、さらにピンと張力を得ることもできますね。これも最初の支点が大切。

クロスフリーズリリースでも片手を離したとき、振り子の支点のようにひじから先の腕にかけて回します。僕はフェイクEBラップまでしかできませんけど、ハミングバードでも重要になるのかな?


縄を「見る」ために大切な部分だと思います。

物理的に目視しているかどうかというより、腕を動かしているだけでその先にある縄のことを考えていないから回せない。実際に見るにしても、ふわりとした縄ではとらえどころがない(コントロールできない)。

縄のことを考えられないまま、技としての状態(腕に巻きつく様子)に意識が行ってしまうと、なおさら縄から意識がはずれます。跳ぶときにジャンプに意識を奪われて縄を回せなくなるのと同じですね。

アームラップなら、いったん支点を得て、縄を感じることで、縄を見る視点も生まれるんじゃないでしょうか。普通の技でも、空中でフォームを整えてから力を入れるほうが、バランスよく回せるように……。