■ 縄をねらって動かすのがヒーローの秘訣
今回は「ヒーローフィニッシュのこと」。
……と見せかけて「アームラップのこと」になりそう。
というのも、学校のクラブで教えてみて、バシッと決めるにはきれいに回す技術が重要だと思ったからです。
クラブでは毎年、アームラップを教えてから別の時間に「発展技」と銘打って紹介してます。「このまえやったアームラップを覚えてる?」と振ると、だいたいみんな腕にくるくる巻きつけだすのがおもしろい。なわとびの技って、質問に行動で答えられるんですよね。
自作のプリント(イラストで技解説)は今でも使っていて、ここ数年は、グループで先に配って、ざっと見てからチャレンジしてもらってるんですが――。
ずっと、足の出しかたが課題だと思っていたんですよ。
ヒーローフィニッシュは、縄を回している側に向かって、背面側から足を出して引っかける技です。とっさに前側に出してしまうのをはじめ、ここで混乱することが多い動きです。そんな光景を何度も見ていたので、ポイントは足だ、と思ってました。
でも、最近はそうでもありません。
腕に3回巻きつけて腕の下に輪ができたところでフォームを止めて、そこで初めて足の入れかたを伝えると、通じやすくなりました。最初は、こんな不自然な、不安定なポーズなの? とおっかなびっくりです。それが、迷わず背面側から足を出せるようになると、「こうやって引っかけてたのか!」とわかるんですよね。
こうなると、ポイントは足よりも、どうやって縄をそこへ持ってくるか ―― つまり、回しかた(=手)の問題だと思うのです。
気になるのが、回しかたがゆるいことです。
アームラップで腕を使って縄を大振りにするのは、遠心力もつくし効果はあります。ただ、そこまで絶大な回転力が生まれているわけでもなく、わりとふわっと回す子を何人も見ます。縄がゆっくりだからと言って跳びやすいとは限らないのといっしょで、ヒーローフィニッシュも、縄がゆっくりすぎると足を合わせづらくなります。
縄をコントロールできていないからです。特に、足を出すときは合わせるために手を止めがちなので、縄がふにゃることも多い。足を引っかけることはできても、きれいにバシッとは決まりません。
反対側の手を引けば縄が張って回りやすくなる効果もありますが、やはり、手先から縄の先まで動きを伝えられる技術があるかどうかが大きいでしょう。2重とび2~3回がやっとな子が、20回以上連続で跳べるくらい小刻みに回すのは難しいのと似ています。
アームラップをそこまで回せると、あとは足を入れるタイミングをつかめばバシッと決まる。アームラップは跳ぶ技ではありませんが、回す技術がきちんと込められた技なんだなあと気づきました。