今回は「擬音のこと」。
擬音やオノマトペとは、「文字で表現した音」のことです。
「ぱらぱら」降る雨とか、野球マンガで「カキーン」とボールを打つ音とか。それぞれ、雨が小降りだったり、バットが金属製だったり、イメージがわきます。音をどう表現するかで、場面の一部を説明する効果もあるわけです。
なわとびならどんな「音」があるのか。
僕のブログでは、ほとんど「ひゅんっ」でした。他にないか……。「カキーン」みたいなマンガの描き文字を例にして考えてみました。
その1。独特な音を作れないか?
神戸に住む大学生の日常が1話1話描かれた作品です。一番好きなマンガ候補の1つです。描き方が丁寧で、擬音も考えてその音を描いたんだろうな、と思います。
シキ シキ
一番はっとしたのがこれです。髪を切ってもらっているシーン。このマンガ以前からこういう音で書かれた小説やマンガがあるのかもしれませんが、僕はこれが初めてでした。たしかに聞こえます。
他にも、大学で初めてのゼミが行われたときの「ゴコ コッ」という音。静かな教室でみんなが椅子を引く音。おとなしい主人公が教授やゼミ生と初めて顔を合わせる緊張感も聞こえてくる感じですね。
じゃあ、なわとびの音は……。ひゃ行とぴゃ行の音ばかり浮かびます(笑)。これはまだ普通ですね。「ふわっ」とか「さぁぁ」とか、見た目のイメージ音ならありでしょうか。多回旋なら、バトルマンガのように「ヒュババッ」もありかも……。
その2。縄の音だけなのか?
『神戸在住』の木村紺さんは、『マイボーイ』というマンガも描いています。
テーマはボクシング。ボクシングといえば、なわとびでトレーニングです。といっても、全4巻のうち、ざっと読み返して見つけたのは1か所。『神戸在住』でいろんな音を描いたかたが、どんな効果音をつけていたかというと――。
ピシッ ピシッ
わりと普通です(テーマや雰囲気の作り方が違うので当然ですが)。
これ、縄が「床を打つ音」です。なわとびの音は、縄が回る音だけではありません。スピード競技なんて、縄が細くて音もかん高くて、激しい「足音」のほうが響くくらいですし。
「たん たん」と書くと、縄が床を打つ音なのか、着地した時の足音なのか、わかりません。でも、たしかに「なわとびの音」です。もっとデフォルメしてしまえば、「ぴょんっ」がシンプルでいて一番それらしいかもしれません。単縄の音というより、一般的ななわとびの音なら、子どもとこの音でしょうね。
ちなみに『神戸在住』は、ほとんどがフリーハンドで描かれています。
コマとコマのあいだにモノローグ(主人公の語り)があるのも独特ですが、それも手書き。いわゆるベタ塗りやスクリーントーンなしで、髪の毛も影も、全部手書きの線です。
僕がイラストで塗りつぶし部分を手書きにしているのは、『神戸在住』の影響です。気になったら画像検索してみてください。あのマンガに出会えて幸せと思える人は、きっとまだたくさんいるはずだと思います。
話がそれましたが、その3は次回で……。