今回は「交差のこと」。
昨シーズン、すこしうまくいった例から。
「引っぱりすぎだから、もうすこし前で回してみよ?」
はやぶさで子どもに伝えたアドバイスです。はやぶさには、交差を先に回すCO型と、あとで回すOC型があって(O=オーブン、C=クロス)、どちらのタイプで跳ぶ子にも交差で同じことを言いました。交差で引っぱりぎみの子が多い、ということです。
何が悪いかというと、引っぱると「傾き」ができるからです。
まず、縄の軌道が傾きます。強く引っぱると、ぐるっと円に近い軌道で回っていた縄が、急に角度を変えて傾いてしまうのです。
足に当たったときにそのまま体を止めてみると、何が起こったかわかりやすいでしょう。おそらく、腕も引きすぎていて、そのせいで縄が引っぱられすぎていると思います。
交差が高い位置になって引っかかりやすいのも、強く回す = 引っぱるのを意識しすぎて、縄が回りきらないうちに交差の体勢に入ってしまっているから …… とも言えます。
そしてもう1つ、体も傾く、というのが今回改めて気づいたことです。
体をまっすぐにしたまま腕を強く引くのは難しいです。パターンによりけりですが、縄や腕を引っぱれば、体は空中でかがむように傾くのではないでしょうか。これも縄の軌道を傾ける原因ですし、ジャンプにも影響します。
体の傾きはバランスを崩すのと同じです。はやぶさに慣れていない子なら、ジャンプもそれなりにぎりぎりで跳ぶもの。そこで空中のバランスが崩れれば、思ったようなジャンプができません。
そこで、引っぱりすぎないように「すこし前で」と伝えました。
「すこし」があいまいな伝えかたなんですが、強く引っぱるときに交差がおなかに当たってしまうなら、おなかに当たらない程度にスペースをあけて「前で」交差を作るイメージです。いっしょに跳んでたのが数人で、2パターン実演して見比べてもらったので、理解しやすかったみたいです。
前で、と言うと、今度はつんのめりぎみになるかと思ってましたが、「体はまっすぐ」とフォローすると、体勢が崩れずに跳べてましたね。このへんは交差に限らず、なわとびのいろんな技で同じフォローになると思います。
一方で、引っぱることで強く回せていた人にはちょっと壁になります。
腕を前に出したら、そこから「引っぱるの禁止!」状態なので、腕を移動できなくて縄が止まってしまうのです。引っぱらなくても、ひじから先をぐるりと回すことで縄も回ることに気づくまでが勝負ですね。2重交差を先に経験させる指導法は、このつまずきをフォローする意味もあるのかなと思います。
回しにくい交差だから起こりやすい失敗です。とはいえ、思わず力が入ってしまう回しかたで同じような失敗になるなら、どこかで「傾き」がミスをまねいていないか、考えてみるのも手でしょう。