とびまるの「なわとびのこと」

なわとびのことを書いたり描いたりするブログ。

650 ノットノットストーリー

今回は「結び目のこと」。

このあいだ、まったく4重とびが跳べない日がありました。

「1回跳べるか跳べないか」の腕前なので、何か1つコツを見落としていると跳べないことはあります。それにしたって、1回も成功しないのは珍しい。こんなときもあるんだな …… と思いながら、すっかり日も沈んだ道を帰りました。

そして夜、眠る前に気づいたのです。結び目を作ってなかったことに。


結び目を作ると縄を短くできます。

短いほうが回しやすいので、いろんな人がやってます。特に、普段使ってる縄(=いろんな技を跳ぶためのメインの縄)で「一時的に縄を短くする」のに使われます。

あの日の夜、横になって目を閉じたあと、どのへんが足りなかったのか、考えてたんですよね。その日いろいろ試した技術を、散らばった写真を拾いあげるように思い起こしていたら、ある1枚に結び目のない縄が写っていたのに気づいて、ようやくわかった、みたいな。

マンガなら「!」マークがつくところですが、むしろ気づかなかった自分にびっくりです……。

普段は、切れて短くなって結び目なしでもちょうどいい縄(5年前くらいの韓国ロープ)を使います。その日の挑戦はメインの縄(替えの韓国ロープをつけたもの)でした。いろんな技を跳ぶ都合上、長さは数cm長いので、4重とびを跳ぶときには結び目を1~2個作っています。それを思いきり忘れていたわけです。


ただ、怪我(けが)の功名、得たものもありました。

結び目なしでも、踏むところまでは跳べたんですよ。勝手の違った縄でも、修正を繰り返してあと1歩まで近づけた。必要なポイントが以前より見えていて、体もそれにこたえることができたのです。

どのへんをポイントで見ているかというと、

・[4重とびの前は手を高めに上げる → 縄を上まで振りあげる → 高い位置から振りおろす]この流れを作る。
・手はすこし前に出し、グリップは真横に。(引っぱりすぎて縄の軌道がズレないように)
・体は肩から上まで伸ばす。(跳ぶときに肩から上でブレーキをかけない)
・ついでに体は中央に固めて跳ぶ。(右に傾くクセを抑える)

気づいたのは、ここで並べたポイントが縄の長さには関係ないことです。それだけいろんな場面で使える技術ということ。「他の技でもこれができてる?」と誰かに問いかけられてハッとするような流れでした。


意識的に腕を広げた覚えもあります。

やっぱり結び目がないぶん長かったので、自然と横に広げて回転距離を短くしようとしてました。横から見たとき、体から縄の先が描く円状の軌道が回転距離です。腕を広げればこの「半径」が短くなるので、円周 = 回転距離が短くて済む理屈です。

結び目を作ってるときは、腕を広げたら足に当たるくらいの短さなので、余裕のある長さで工夫して回す時間って、案外新鮮なものでした。その感覚を保ったまま、結び目ありで挑戦したら跳べたんじゃないかと思えたくらいでした。

記憶を失った人が、引きだせないだけで自分の奥底に眠っている感覚を手探りでつかもうとするような時間だったと思います。小細工なしで技術を追うのも、ときにはいいものですね。素(す)で忘れてただけですけど。